公社の賃貸ブログ

賃貸で地震に遭ったらどうなる?補償や保険の適用は?

2019.12.16

団地の知識

こんにちは! 神奈川県住宅供給公社の戸丸です。

日本は地震大国。規模が小さな地震は毎日のように日本のどこかで観測されるほどです。

今回の話は「賃貸に住んでいる場合の補償」について。

地震保険に入った方がいいのか、入らなくても大丈夫なのか、大家さんや不動産屋さんはどこまで補償してくれるのか?など、気になるところですね。

今回は、地震が起きたときの賃貸物件の補償についてお話します。

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家屋の損傷、だれが負担するの?

地震による家屋の損傷は、基本的に大家さん(貸主)負担になります。

理由は民法により、「貸主は賃貸物件を利用可能な状態で入居者に提供する義務があることが定められているから」です。

壊れた家=利用不可能、なので貸主の義務を果たしていませんよ、ということです。

また、同じく民法で、貸主は必要な修繕を行う義務があることも定められています。

ただし、ケースによっては入居者負担になることもあり「地震による被害はどんな場合も大家さん任せでOK」ということではありませんので注意が必要です。

建物の倒壊、ヒビ割れ、扉の歪み、ガラス割れなど

建物に関する損傷は、基本的には貸主負担になります。

ただし、損傷の原因が入居者にある場合は入居者負担となります。

地震の有った際に「窓の近くに倒れやすいものを置いていた」「禁止されたスペースでアロマや簡易コンロなど火気器具を使っていた」「レンジの落下やタンスの転倒など予測できる2次災害に対して適切な処置を取らず、家屋を破損させた」などが入居者負担になる損傷の例です。

自分自身の安全を守るためにも、倒れやすいものはしっかり固定しておくなど、自分でできる地震対策をしておくことも大切です。

入居者のケガ、入居者の家財道具の損傷

家屋そのもの以外の備品や家財道具の損傷・入居者自身のケガなど入居者が負った損害については、基本的に入居者の負担となります。

ただし、ケガや家財道具の損傷の原因が大家にあると認められる場合は貸主負担となります。

たとえば入居者が被災以前から不具合を申し出、修理を依頼していたのにもかかわらず貸主が対応していなかった影響で被災の影響が広がった場合(窓の修理を依頼していたが、間に合わず窓の強度が下がり周辺の家財道具にも被害が及んだ、など)には、貸主負担となります。

どんな損害でも「必ず」「罹災後すぐ」貸主に報告する!

補償の対象が誰になるかにかかわらず「地震で出来た傷だけど、どうせ退去時に確認するから、そのときに報告すればいいかな」はNGです!

本当に災害によって発生した傷であっても、時間が経ってからではそれを証明することが難しくなります。「災害の後に付いた傷では?」と入居者負担にされてしまうおそれも。

災害のあとは何かと大変ですが、落ち着いた段階で、すみやかに大家さんまたは不動産屋さんに被害を報告しましょう。

万が一賃貸物件が地震で倒壊したらどうなる?

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まず、1981年6月1日に建築基準法の大改正が行われ、新耐震基準が定められました。

これを満たした建物であれば「震度5以下ではほとんど建物の破損は認められず、震度6~7程度の地震でも倒壊自体は免れる」基準で建築されています。

また、それ以前に建てられた建物のうち、耐震基準は古いままでも、構造によっては新耐震基準に相当する性能を持つものもありますし、耐震基準を満たすように改修工事で補強をしている建物もあります。

古い建物の場合は、補強工事が行われているか入居前に確認すると安心です。

(ただし、補強工事が行われている場合でも倒壊、崩壊の危険性が低くなるだけで、直下型など想定外の地震が発生した場合はこの限りではありません。)

万が一、倒壊してしまったら......ですが、実は、倒壊した時点で「提供できる住宅は消失」してしまうため賃貸借契約は終了したことになります。

このことは、一般的に入居前に取り交わす賃貸借契約書にも明記してあります。

倒壊によって契約が終了してしまうので、入居者が貸主に損害賠償請求をすることはできません。

ちなみに、倒壊まではいかなくても、建物が損壊してしまい、住める状態でないときも倒壊と同じとみなされることがあります。

「それはあんまりだ!」と思われるかもしれますが、地震は貸主にとっても予測できない災害であり、貸主に非があるわけでもありませんので、法律上は仕方のないこととされています。

ただし、貸主に「非がある」場合は損害賠償請求できる可能性があります。

それは、耐震基準を満たしていなかったり、設備点検が適切に行われていかなったりするなど、建物の安全性が確保されていなかった場合です。

万が一古い住居に住んでいて倒壊した場合には諦めず問い合わせすると共に、物件を選ぶときに建物そのものの構造も選択基準に入れることが大切になります。

地震保険ってどんな保険?

地震保険とは、その名の通り地震による被害や、地震に伴い火災や津波などが引き起こされた場合に被った被害に対処できる保険のことです。

賃貸の場合は、建物は自分の持ち物ではありませんので、保険の対象となるのは家財道具になります。

家財として考えられるのが、冷蔵庫、テレビ、パソコン、洗濯機など、主に生活に必要なもの。

30万円を超えるような骨とう品や貴金属、絵画などは補償の対象にはなりません。

火災保険はマンションなど賃貸の更新条件になることも多いですが、地震保険は任意加入がほとんどです。

そして、地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、地震保険のみ加入することはできません。

ちなみに、公社の賃貸では火災保険の加入は任意ですが、事故があった際のために加入をオススメしています。

「ハザードマップを見ても津波は来ない場所で、漏電火災に備えれば大丈夫。だったら火災保険でカバーできる」と思われた方、それはアウトです。

火災の原因が「地震」の場合は、地震保険に加入していなければ補償されません。

地震保険で家財を補償できるのは、多くは300~500万円ほど。

必要であれば、地震保険も併せて加入を検討してみてもよいでしょう。

まとめ

・地震によって発生した家屋の損傷は貸主の補償範囲です。ただし、倒れやすいものを窓際に置いておいたため倒れて窓が割れたなど、借主に非がある場合は借主負担となる可能性があります。

・万が一、建物が倒壊しても、耐震基準を満たしていれば貸主に損害賠償請求することはできません。とは言え、1981年6月1日以降に施行された建築基準法の「新耐震基準」を満たす建物であれば、震度6~7の地震でも倒壊を免れると考えられています。古い建物に住まれていて心配な方は、大家さんまたは不動産屋さんに耐震性能について確認してみましょう。

・地震保険は賃貸の場合は家財道具を補償する保険。火災保険とセットで加入する必要がありますが、賃貸の場合は地震保険が任意であることがほとんどです。補償の必要性があれば加入を検討しても良いでしょう。

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