公社の賃貸ブログ

善管注意義務とは?賃貸で知らなかったはNG!

2019.12.02

団地の知識

こんにちは! 神奈川県住宅供給公社の戸丸です。

賃貸物件に入居するとき「善管注意義務」という言葉を聞かれたことはありますか?

あまり耳なじみがないけど、重要なの?意味や内容はどんなもの?と、不思議に思われた方もいらっしゃるでしょう。

でも実は、賃貸物件の契約書を見てみると、ちゃーーーーんと書いてあります。

そして、知らなかったでは済まされない、そんな内容なのです。

今回はこの「善管注意義務」について解説していきます。

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「善管注意義務」ってなんだろう?

善管注意義務とは「善良な管理者としての注意義務」の略称です。

賃貸物件を借りる場合だけでなく、中古車業界や医療業界などでも幅広く使われる言葉で「社会通念上、守るべき注意は怠らないようにしてくださいね」といった意味合いがあります。

賃貸物件を借りる場合、ほとんどの契約書に書いてありますので「知らなかった」では済まされません。

善管注意義務の例を挙げると、「マンション自体の設計のせいで結露が発生し、それによって出来てしまったカビはセーフ。

しかし、結露やカビに気づいているのに放置してよりひどくなったら善管注意義務を怠ったとして借主の負担となる」といったものです。

この場合、借主は悪意があって部屋を汚したわけではありませんが、部屋を大切に扱うということをしなかったという点で善管注意義務を守っていないことになります。

もし善管注意義務違反をしたらどうなる?

家具による傷や普段見えないところのカビなど、善管注意義務違反の多くは退去時に判明します。

違反した場合、原状回復費用としてクリーニング代や修理代が敷金から差し引かれることになります。

「構造上の問題で発生した結露とカビ」の例では『結露はマンションの構造上の問題だから、こちらは無関係だ』と思われるかもしれませんが、以下の点で借主は注意する義務を怠った、と考えられます。

・結露が発生したらこまめに拭き取っておくことでカビは発生しにくくなる

・発生してしまったカビも適切に処理することで増え過ぎたり、壁に染みついて取れなくなることは防げるはず

つまり「想定される範囲内で対処をすれば防げたはずのことをしなかった」場合に、善管注意義務違反とみなされ、大家さんに対し原状回復の費用を支払う必要が出てきます。

もちろん、請求金額が敷金よりも多い場合は追加で徴収されることになります。

善管注意義務違反にならないために

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善管注意義務となる例はボーダーラインを設定するのが難しく、物件や大家さんによっても考え方が違います。

ただ、基本的には「借りた部屋を、自分のものと思って自分のものと同等、またはそれ以上に丁寧に大切に扱ってくださいね」といったことになります。

「わざとじゃないから」と言って汚れや不具合を放置した結果、さらに部屋の状態を悪くしてしまったということであれば、善管注意義務違反になります。

善管注意義務違反として考えられるものには以下のようなものがあります。

・エアコンからの水漏れを放置し、壁や床が腐食したりシミが出来たりした。

・水回りの掃除を怠り、水アカやカルキがこびりついて取れない。

・たばこのヤニが壁に染みついてしまった。

・風呂の水を出しっぱなしにして水漏れを起こした。

・鍋を火にかけているのを忘れて壁を焦がした。

・トイレや風呂に流してはいけないものを流し詰まらせた。

・たばこを床に落としてクッションフロアシートや畳を焦がした。

いずれも、普段から手入れに気を付けたり、生活する上で気を付けておけば防げると考えられる内容ばかりです。

あくまでも「一般的に求められる内容」なので、専門的な知識がないと対応できないような事例は除外されます。

ただ、冒頭でもお話しましたが、個別のケースに対する細かな規約があるわけではないので、大家さんや築年数次第で対象範囲が変わってきます。

状態は同じでも善管注意義務違反として原状回復を求められる場合と「少しの汚れだからクリーニングのついでに直しますよ」と、特に違反として扱われないこともあり得ます。

そのためには、部屋の印象を良くしておくことが一番。

普段から掃除をこまめに行い、退去時の検査も掃除をきちんとしてお返しするなどして「部屋を大切に使っていた」と感じてもらえるとよいでしょう。

また、普段から部屋の様子を気にかけ、異変を感じたら大家さんか管理会社に連絡をしましょう。

例えば、トイレのタンクにつながる給水管がゆるんでいて、水漏れが起きていた場合。

管理会社に連絡し、すぐに対処してもらえれば修理は数千円で済みますが、それを放置して階下に水漏れしたり、床を腐らせてしまったら、数千円では済みません。

一方、きちんと連絡したのに対応してもらえず、結果、部屋の汚損につながったときは、善管注意義務違反にはなりません。

もし、入居時から汚れが付いていた場合には、入居立会い時に写真を撮って残しておくと、退去時に原状回復に関する話し合いもスムーズに進みます。

まとめ

・善管注意義務とは、「社会一般に求められる程度の注意は払って、大切に家の管理をしてください」と借主に求めることです。

・汚れや不具合の原因が悪意のあり・なしに関わらず、借主の不注意や過失によるものだと考えられるものは善管注意義務違反に問われます。

・善管注意義務違反の場合、原状回復費用として敷金から差し引かれて請求されます。敷金で補いきれない場合はさらに支払いを求められる可能性もあります。

・善管注意義務違反となる可能性があるのは「結露やカビを放置してひどくした」「エアコンの水漏れを放置してシミを作った」「水回りの掃除をさぼって取れない水アカやカルキ汚れを作った」など、普段きちんとお手入れしていれば防げた汚れなどです。

・善管注意義務違反にならないためには、普段から部屋を大切に扱い、汚さないようにするのが一番です。少しでも異変を感じたら、すぐに管理会社や大家さんに連絡するようにしましょう。原状回復の話し合いをスムーズにするために、入居時の状態がわかる写真を残しておくのもおすすめです。

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