公社の賃貸ブログ

賃貸借契約で多いトラブルや対策、相談先を知っておこう!

2021.05.06

団地の知識

こんにちは!神奈川県住宅供給公社の田中です。

賃貸契約や賃貸住宅の生活でトラブルに巻き込まれないためには、どうしたらいいのでしょう。

賃貸住宅に申し込む段階から「契約、入居、生活、退去」に至る各段階で、どんなトラブルがあって、どんな対策で防げるのかを知っておくと、気持ちに余裕ができます。

今回は賃貸契約のトラブルに注目し、よくある事例やトラブルを避けるための対策、困ったときの相談先についてご紹介します。

入居申込書の書類

賃貸借契約で多いトラブル、まずは契約時・入居手続きのケースから

賃貸の入居申し込みから賃貸借契約締結までの流れに沿って、よくある5つのトラブルと、困ったときの相談先をご紹介します。

入居申し込みを撤回(キャンセル)できない

入居申し込みの撤回は、賃貸借契約が成立する前(契約書に署名・押印する前まで)までは可能です。

ただし撤回を決めたら、できるだけ早く文書で不動産会社に連絡しましょう。

入居の申し込みをした後に事情が変わり、申し込みの撤回を申し出たら、不動産会社から撤回不可と断られるトラブル事例はとても多いです。

トラブルを防ぐために、申し込む前に万が一の場合は撤回が可能かを確認しましょう。

その際、撤回の連絡は何月何日の何時までに、誰に連絡すれば良いかまで確認しておくと安心です。

申込金が返還されない

申込金とは、物件を借りたいという意思を示すために「一時的に不動産会社に預けるお金」のこと。

賃貸借契約が成立しなければ申込者に返還されるものです。

ところが、申し込みを撤回した(契約不成立)際に、申込金が返還されないというトラブルが多くあります。

宅地建物取引業法施行規則では、仲介する不動産会社が申込金などの預かり金の返還を拒否することを禁止しています。

返還を拒否されても、不動産会社に対して申込金の返還請求を行いましょう。

トラブルを防ぐためには、申込金を預ける際に下記の内容が記載されている「預り証」を受け取ることが有効です。

・宛名(入居申込者)
・預けた日付
・預けた金額
・返還の期日(いつまで預けるのか)
・預かり金の目的(どのような目的で預けるのか)
・賃貸契約の成立・不成立にかかわらず、返還の期日には必ず返還されること
・不動産会社と担当者の記名と押印

契約前に契約金の支払いを求められた

契約を締結する前に契約金(初期費用)の支払いを求められるという、トラブルもあります。

契約金は契約を締結したことによって支払う必要が生じるものですので、契約締結前に支払う必要はありません。

契約書に署名押印した後に支払うのが原則です。

(公社の賃貸ではお手続きの都合上、契約書に署名捺印前に契約金をお預かりします。)

ただし重要事項説明を受けて署名捺印したうえで契約書の内容を確認し、契約することが確実である場合、契約当日に大金を持ち歩くことを避けるために事前に振り込む場合があります。

契約時に追加費用を求められた

契約する段階になって初めて聞く費用が追加され、当初の予算を大きくオーバーしてしまうトラブルがあります。

納得できないまま追加費用を支払うことは、さらなるトラブルの原因になりかねません。

このような場合、契約の締結を一旦中断するのもひとつの方法です。

契約時に必要となる契約金(初期費用)の金額と明細は、入居申し込みを行う前に不動産会社に確認しておきましょう。

不動産会社から保険の指定を受けた

ほとんどの賃貸契約で損害保険や火災保険への加入が義務付けられています。

そこで生じるのが、不動産会社が指定する保険に加入しなければならないのか?という問題です。

契約条件に明記されていない限り、どの保険会社の損害保険や火災保険に加入するかは入居者が自由に選択することができます。

自分で選んだ保険を使いたいのに、もし不動産会社から指定された場合は、その旨を不動産会社に相談しましょう。

保険について詳しく解説しているので、こちらもぜひご参考ください。

賃貸住宅で火災保険は入るべき?内容や注意点を知って検討しよう!

賃貸借契約後、生活の中で発生しやすいトラブルと対策は?

エアコン清掃

実際に生活を始めてから発生する可能性のある、よくあるトラブルと解決方法についてもご紹介します。

住んでいるお部屋でのトラブル

まずは、住んでいるお部屋でよくある3つのトラブルです。

水漏れ

水漏れは放置するとカビやシミの原因になったり、他の人の部屋にまで水が漏れたりと、被害が大きくなりやすいトラブルです。

水漏れしている水道の元栓を閉めるなど応急処置をしたうえで、物件の管理会社に連絡し、対処をお願いしましょう。

その際、水漏れしている状態の写真や動画を撮影しておくと、管理会社や水道業者に状況を説明するのに役立ちます。

水漏れについて詳しく解説しているので、こちらもぜひご参考ください。

賃貸の水漏れはどう対処する?原因や責任問題など全て解決!

設備の故障

ガスコンロや照明、エアコンなど賃貸物件に備え付けの設備が故障した場合も、すぐに物件の管理会社に連絡して修理をお願いしましょう。

通常の使用で故障した場合、備え付け設備の修理は貸主の責任で行われます。

自分ですぐに修理をしたい場合でも、修理する前に必ず管理会社に連絡して、その旨を相談しましょう。

連絡せずに自分で修理をした場合、貸主に修理費を負担してもらえないこともあるので注意が必要です。

カビの発生

換気がよくない、結露が発生する、水漏れしているなどの原因で、物件にカビが生えることがあります。

カビを放置して通常の掃除では落ちない汚れになると、退去時に原状回復の費用(カビのない状態に戻すための費用)が必要になります。

カビの発生を防ぐのは借主の責任なので、カビを発見したらすぐに掃除をしてカビを取り除きましょう。

家賃滞納や転貸に関するトラブル

契約条件で定められた条件を守らないとトラブルになります。

以下の2つに気をつけましょう。

家賃滞納

家賃を繰り返し滞納していると、借主の信用が失墜するだけでなく、物件からの退去を求められることがあります。

家賃を滞納してしまったら、その旨を謝罪したうえで滞納した事情を説明し、速やかに滞納分を支払うようにしましょう。

定められた期日に家賃を支払えないことが分かった場合、その時点で支払先に連絡をして、その後の対処を相談することが大切です。

転貸

賃貸物件では、転貸(また貸し)は禁止であることが契約書に明記されています。

自分が借りている物件の1部屋を、ルームシェアとして他人に貸すだけでも転貸です。

無断で転貸すると契約解除を迫られ、部屋から退去しなければならない事態に陥ることもあります。

それでも転貸を考えている場合、まずは物件の管理会社に相談を。

転貸には必ず貸主の承諾が必要だからです。

住民とのトラブル

生活音が気になる、共用廊下の使い方やゴミ出しのルール・マナーが守られないなどの問題から住民同士でトラブルになることがあります。

当事者同士が直接話し合った場合、話がこじれてトラブルがさらに大きくなってしまうことも少なくありません。

まずは物件の管理会社に連絡して、トラブルの解決をお願いしましょう。

その際、トラブルの内容を具体的に(いつ、どこで、どんな、誰がなど)伝えるとスムーズな解決につながることが多いです。

賃貸借契約で更新時や退去時に起こりやすいトラブルと対策

和室とダイニングキッチン

賃貸契約の更新時や退去時によくあるトラブルもご紹介します。

更新時のトラブル

更新時には、家賃の値上げや更新拒否のトラブルが目立ちます。

家賃・管理費の値上げ

契約更新の時期に、家賃や管理費の値上げの通知が来て驚くことがあります。

賃料改定については、賃貸契約書に賃料改定をする場合の条件が記載されているので、まずは契約書を確認しましょう。

家賃の値上げは契約条件の変更なので、貸主といえども借主の合意がなければ行えません。

値上げに納得できない場合は、管理会社や貸主に問い合わせてみると良いでしょう。

万一合意できないまま契約満了を迎えても賃貸契約は「法定更新」されるので、借主は同じ部屋に住み続けられます。

※法定更新:借地借家法の定めに基づいて、契約満了前と同じ条件で自動的に契約が更新されること

更新を拒否される

契約更新が近づいたころに「賃貸契約を更新しない」という内容の通知が来て驚くこともあります。

しかしながら、借主保護の観点から、賃貸契約では正当な理由がない限り貸主側が更新を拒否することはできません。

正当な理由がある場合でも、解約時期の6カ月前までに借主に通知しなければなりません。

さらに更新拒否の通知が来ても、借主が同意しなければ法定更新が行われます。

まずは落ち着いて物件の管理会社と話し合いをしましょう。

退去時のトラブル

退去時に多いトラブルは原状回復と敷金についてです。

賃貸物件を退去するとき、賃借人には建物を元の状態に戻す義務(原状回復義務)がありますが、これは物件を新品のようにすることではありません。

ところが入居前からある損傷の補修費や、敷金を上回るハウスクリーニング代、リフォーム代を請求されたり、敷金が返ってこなかったりといったトラブルが多く見られます。

トラブルにあったら、まずは契約書の原状回復に関する内容をチェックしましょう

次に、自分が負担すべき原状回復の範囲を確認します。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。

貸主が負担すべき費用(経年劣化など)か、借主が負担すべき費用(過失等による損耗)か、具体的に詳しく解説されているので確認しておきましょう。

確認の結果、自分が負担すべき金額は敷金よりも少ないと考える場合、原状回復費用を差し引いた敷金を返還するよう書面で貸主に求めます。

退去する際の借主と貸主による立ち合いで、損耗箇所を互いに確認して写真を撮り、確認した内容を書面に残しておくと、原状回復の負担割合を求めるために役立ちます。

トラブルが解決しないときの相談先

自分でトラブルを解決できないとき、管理会社とトラブルになったときは、トラブルに詳しい第三者に相談しましょう。

下記の窓口では電話やメールなどを使って無料で相談を受け付け、問題解決のアドバイスやさらに適切な相談窓口の紹介をしています。

トラブル発生後はもちろん、入居申し込み前や退去前など節目のタイミングで事前相談をすることも可能です。

各ホームページには豊富な相談事例も紹介されており、トラブル解決の参考になります。

都道府県の相談窓口

国土交通省の不動産会社を管轄する部署です。

一般財団法人 不動産適正取引推進機構 

不動産取引(売買契約・賃貸借契約の締結等)に関する無料の電話相談です。

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会

居住用の賃貸住宅のトラブル相談を受け付けています。

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)

賃貸物件の相談も受け付けています。

消費者ホットライン188(いやや)

全国統一番号の188(局番なし)に電話をすると、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。

原状回復、敷金トラブルなど。

一般財団法人 日本消費者協会

トラブル解決のための相談やあっせんを行っています。

日本司法支援センター 法テラス 

国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。
トラブルに応じて、問題を解決するための法制度や手続き、適切な相談窓口を無料で案内してもらえます。

賃貸のトラブルのケースごとの相談窓口や相談する前の準備、トラブルを未然に防ぐ方法などは「賃貸住宅のトラブルはどこに相談?多い問題や予防方法も解説!」もご覧ください!

賃貸の契約トラブルは防ぐことも可能!解決が難しいときは相談を

賃貸契約では入居申し込みから契約、入居、更新、退去と各段階においてさまざまトラブルに見舞われることがあります。

しかし、それぞれのトラブルの特徴を踏まえたうえで適切に対処すれば、大きなトラブルに発展することを防げます。

また、事前に対策をとることでトラブルそのものを防ぐことも可能です。

トラブルになってしまったとき、大切なのは一人で悩まず相談することです。

自治体の窓口をはじめとして、いろいろな相談窓口があるので思い切って相談してみましょう。

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お部屋探しの際は公社の賃貸の物件情報をぜひチェックしてみてください!

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田中(募集契約課) 入社8年目、建替から地域活性化事業まで経験しました! 「公社の賃貸」の魅力をお伝えできるよう頑張ります!。 座右の銘は『どんなことにも感謝しなさい』